"ナッツ"探しをして
今回のチャレンジを通して実現したいこと、3つ目です。
3.開発効果のある商品を開発・販売し、商売を通じて経済発展に貢献したい!
"ナッツ"への想い
自分が最初にやりたいと感じていたのは農業でした。
農地としてのアフリカの可能性は様々なところで取り上げられていますね。
以前ルワンダに住んでいた時のこと、知人を訪ねた際ウガンダとの国境近くで目にしたのは水平線まで続く広大な土地。どこまでも緑が続くその風景。
「この広い土地を使って、アフリカの人のためになることがしたい!」
その景色を見ていた時、そんなことを強く思いました。
実際に、インターンを受け入れてもらい多くの事を教えて頂いた佐藤芳之さんがケニアでマカデミアナッツを中心に農業で一大企業を起こし、現地にたくさんの雇用を生み出したという"実例"も目の当りにしたことも自分の中でとても大きなものとなっています。
OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語 (OUT OF AFRICA)
- 作者: 佐藤芳之
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「どうしたら自分にとっての”ナッツ”が見つけられるだろうか?」
という問いは今も自分の中にずっとあります。
一方で、これまでも日本で働きながら"ナッツ"探しをしてきました。色々な展示会を見に行ってみたり、話を聞きに行ってみたり。西アフリカに来たのちもチャンスを探ってきました。
ですが、そこでわかったことは、資本も技術も経験もない自分にとって「農業」をやるというのはやっぱりものすごくハードルが高いという現実。
※若き日の佐藤さんも技術も経験もなかったはずですが、そこを(しかもあの時代に)実現してしまったのがあの方の想像もできないぐらいすごいところだと、いま改めて感じます。
川下を抑える
「これからどうしようか。やっぱりナッツを見つけるのは無理か」
と思いあぐねていた時に頭に浮かんだのは、日本で訪れた農水省主催の民間企業による農業参入に関するセミナーの内容でした。
「売先が確保できていなければビジネスとしての成功は厳しい。反対に、すでになんらかの販売先をもっていれば採算が成り立つ可能性がぐっと高くなる。」
また、ある雑誌で東アフリカで急速に増えつつあるスーパーマーケットの影響を調査した論文を読んだ時のこと。
そこではスーパーが地元農家の安定した販売先になることで収入の安定化が起こり、反対にスーパーが一定の要求水準を農家側に求めることで品質などが向上、結果的に国外輸出につながった事例が描かれていました。
「ナッツをいきなりつくることはできなくても、小売という『売り先』になることは自分でもできる。川下を抑えること。自分たちが買い支え、適切なフィードバックを行うことで、間接的に第二第三の"ナッツ"を作ることにつながるのではないか?」
なにげない2つの見聞きした事柄が合わさったとき、そんな仮説が自分の中にできてきたのです。
と、いうわけで「じゃあスーパーをやろう!」となればいいのですが、ところがどっこいこれもなかなかのハードルです。
生鮮食品という鮮度との戦いである「生もの」を扱うのは、これまた小売の素人には簡単なことではありません。
そのため今後の目標としてスーパーは自分の頭の中にありますが、まずは初めての小売の経験として今回私は生活雑貨を中心とした業種を選びました。
一方で上記のような、従来から自分がやりたいと感じていた食品への思いは常に自分の中にあります。
西アフリカの豊かさ、開発の難しさ
少し話がズレますが、西アフリカに来てみて今回驚いたことはこの地域が日本にもまだあまり知られていない素晴らしい食べ物を秘めていることでした。
ビサップやバオバブ、食品ではないですがシアバターなど面白い農産物がいくつもあります。
それらはもちろん、放っておかれているわけではありません。NGOや開発機関などが商品化に取り組んでいます。
が、なかなか大成功というわけにはいっていないように見えます。
理由の1つは「いきなり先進国への輸出を目指しているのでは?」という部分かと思っています。
要求水準が高く、世界中からモノが集まってくる市場に対して主にコンテナ輸送に足る物量を輸出しようとするのは簡単なことではありません。
また「継続の難しさ」という部分もあるかもしれません。「開発」という文脈では資金が得られなければ活動も続きません。
で、えっと、何が書きたいかといいますと
「はじめのステップとしてのアフリカの国内市場で売れれば、そこにビジネスを絡めて継続性を確保できれば、活動も続くし国内で販売しているうちにその先の海外輸出につながるのではないか?」
ということを思ったんです。
実店舗によって新しい可能性を開けかないか?
っと、偉そうなことを語っていますが要するに
「ダカールに実店舗を持つ自分たちと、開発協力の活動をつなげたらこれまでとは少し違う可能性、あり方が見えてこないかな」と。
具体的には開発関係の方となにか一緒にできたらいいのになぁ、と思っています。
農村部で商品を作り、それをダカールの自分たちのお店で売っていく。上手く商品が売れるようになっていけば、プロジェクトなどが終了してもその収入の存在によって現地の住民の方による活動は継続されていくのではないか・・・。
そんなチャレンジをできたらいいのですが。
さて、自分たちとしても商売ですから、買ってもらえるようお客さまの声を積極的にフィードバックしていこうと思います。
そして、先述したように、その「安定販売先の確保とそこからのフィードバックによる品質向上」というループでできていった商品がやがて輸出などにつながればな、と。
手始めに店頭で何か売っていけないかな?それによってこれまで自分が関心のあった食べ物に関わる道が開けないかなと思っています。
もちろんこれは商売にとっても有益です。正直なところモノの小売というのは利益率があまり高くありません。一方で食品は高い粗利益を狙えます。既に実店舗はもっているので、主な経費である家賃があらたにかかるわけでもありません。
やりたかったことと実利の双方を実現したいと思っているのですが、うまくいくか。
いまは、こんなことを頭に描きながら動き出したところです。
大上段に構えて、ごたくばかり書いてきてしまいました。
現実はこんな声高な理想にはほどとおーい、西アフリカの小さい一小売店です。
(それすらもいまは開店にむけて、準備にてんやわんやなわけですが。)
捏ねに捏ねたこれら理想理屈がどれだけ現実に食い込めるか(あるいは食い込めなかったか)をこのブログを通して書いていければと思います。