「ニッポンなつかしいね!!」-人からはじまる国際関係
お店をやっていて驚くのは、本当にたくさんのセネガル人が日本に関係していること。
そんな様子を少し。
「ニッポン、懐かしいねぇー!!」
「あら、『いらっしゃいませー!』って言ってくれないのー??」
店に入店された女性のお客さま。いつものように「Bonjour!」と元気に挨拶した途端、日本語でこんなセリフを返されて目を丸くします。
「えー!!日本語話せるんですか!?」
「話せるよー!1年間大阪で、それから4年間横浜国立大学で勉強してたのよ!あなた知ってる?『ヨココク』!」
お店を開店して以来、どれだけこのようなやりとりをする機会があったことでしょう。
セネガルへ一時帰国中の現役留学生、むかし日本へ仕事や勉強しに行っていた方。本当に多くの方が「Japon」の文字を見て店に入ってきてくれます。
現在はセネガルに住んでいる方が多いということもあり、来てくれる方の全員が今現在も直接日本に関わっているというわけではありません。
それでも店に一歩入って商品を見てみたとたん、みなさん「ニッポン、懐かしいねぇー!!」と目を輝かせます。
いつも店に遊びに来るこの子達もいつかは日本に・・・?
それからはちょっとした「思い出話」タイム。
どんな理由で日本に行ったのか?楽しかったこと、びっくりしたこと、苦労したことetc....
「漢字をおぼえるのが難しくてねぇ。」「天ぷらおいしかったなぁ!また食べたいよ!」
そんなかたちで彼らの中にしまわれている、はるか遠い島国に過ごし関わった大切な時間がとめどなく溢れ出します。
「あー、日本は良い国だった!ぜひまた行きたいわ!」
その言葉で締めくくられる思い出の数々。そこにあるのはいつもにこやかで楽しげな表情です。
これを見るのが私はとても好きです。
「自分の生まれた国はこんなにも多くのものをこの人たちの中に残したんだ。」
と感じて。
二国間関係は人から
あるいは「家族が日本に関係する仕事をしていて興味を持ったから見にきたんだ!」というお客さまも結構いらっしゃいます。
2つの国の関係づくりというのは色々な形がありあえると思います。
貿易、投資、援助、文化交流、広報etc...
昨年のJICA青年海外協力隊記念イベントでの習字体験。文化交流も一つの交流手段。
それでも結局最後は「人」なんだといつも思わされます。
「あの国はこんな国だったんだよ!」と語るに勝る影響力を人々に持つものはやっぱりありません。
あるいは上記の色々な形の活動だって、やっぱり誰か中心となって旗をふる「誰か」がいるから上手くいくのでしょう。
セネガルと日本。アフリカ大陸最西端と極東アジアを結んでいるもの、それはこうした人々の存在なんだと私は信じています。
ABEイニシアティブ
そして、そんな「人」のつながりを強化しようとする活動がはじまっています。
「ABEイニシアティブ」というのを聞いた事はあるでしょうか?*1
2013年6月のTICAD Ⅴにて安倍首相が示した政策で、JICAのHPでは以下の様に説明されています。
このプログラムでは、アフリカ諸国にて産業開発を担う優秀な若手人材を外国人留学生(以下、研修員)として日本へ受入れ、本邦大学における、原則として英語による修士課程教育と、企業への見学およびインターンシップ実習を実施中です。
プログラムを通じて、アフリカにおける産業開発に資する日本とアフリカの間での人脈が形成され、日本企業がアフリカにおいて経済活動を進める際の水先案内人として活躍することが期待されます
引用元:JICA Webサイト
アフリカ全土から優秀な方を日本に招き、教育だけでなくインターンを通じて企業とのつながりも強化しようというもの。
目標として掲げられている数字は5年間で1,000人!
既に14年-15年度で473人もの方が日本にいってるとのこと。
セネガルも今年やっと派遣国に仲間入り。12名の方が日本で学ばれるそうです。
写真引用元:ABEイニシアティブ、セネガルから12名の若者が日本へ| セネガル事務所 | 海外のJICA拠点 | JICAについて - JICA
「I will go to Japan!!」
そんななか、ある日来店された2人の男性。
開口一番に片方の男性が「こんにちは!」と日本語で元気にあいさつしてくれました。
聞くと以前、鹿児島で生物学の研究をされていたとのこと。今はダカール大学で先生をされているそうです。
そしてお連れのもう一人の方もおもむろに話しはじめます。
「I will go to Japan!!」
聞くとまさにこの男性は上記のABEイニシアティブのプログラムにより日本へ行くとのこと。
せっかくなので記念写真。セネガル人男性はやっぱり皆さん背が高い。
実はこの男性、いまのところ日本語はほとんどできません。
このプログラムの面白いところは、原則として英語で修士課程教育を行うとしているところ。
アフリカの方が日本に行く際の最も大きなハードルは「日本語」。
この方の様に日本語ができなくても行くチャンスをつかめるのは素晴らしいですね!
この方は東北の方に行かれるとのこと。
多くのことを学んできて、日本側にもたくさんの刺激を与えてくれるといいなと思います。
かつて行ったことのある人、まだ行ったことのない人、どちらにとってもうちのお店が日本を思い出す一つのきっかけになってくれたら嬉しいなと思います。
*1:正式には「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」(African Business Education Initiative for the Youth)