スタッフを雇おう!-アフリカでの人材採用(2)
採用活動の様子、続きです。
書類選考
あるていど履歴書が集まってきたら次は簡単に書類選考をします。
しかしあらためてみてみると、予想以上に立派な経歴の方にも応募してきて頂けて驚きます。
・ヨーロッパの大学で経営学のマスターをとられた方
・セネガル企業でマーケッター経験がある方
・ダカール大学(国立大学)を優秀な成績で卒業された方
など。
小売店の店員という職に対しては、とても立派な経歴。これは裏を返せばセネガルにそれだけ職がないことをやはり意味しているのでしょう。
余談ですが近年、イスラム過激派によるテロの背景に職を得られない高学歴の若者の存在がある、という指摘があります。
職がなくとも自分でビジネスをして稼ごう、という方向に行けばいいですがこうした職のないセネガルの若者が変な方向に走らなければいいと強く思う限りです。
雇用の創出はやっぱりどこの社会の安定にも必要ですね。
書類選考といってもここであまり弾くようなことはしません。年齢などの点でどうしても合わない方だけ除外します。
いざ面接!
面接の案内をメッセージにて送ります。
この時点で「あんた誰だ?」なんてメッセージが返ってくるのは予想の範疇。
半分ぐらいの方が面接に来なくても驚かない。
なにせここはアフリカ。
面接の日には時間を守ってくるかどうかも見ます。
アフリカということで時間を守らないイメージがあり、それは大体において正しいのですがきちんとくる人は来ます。
たとえばうちのBocarなんかは「父親に時間は守れときつくしつけられたんだ」なんて言ってたり。
面接で主に話をするのはSeydina。
意外だったのは普段知らない人同士でも気軽に挨拶を交わし話し合う彼らがとても緊張していること。
表情がとてもかたい。
冗談なんかも言いながら何ができるか、何をしたいかなんかを聞いてきます。普段愛想がないと言われがちな私たちですが圧迫面接にならないようにかなり優しめに。
その間、言葉が完全にできない自分は徹底的に応募者の「顔」をよく見ています。
もちろん美醜ではなく、人相というか顔つきや話し方に表れる雰囲気のようなもの。
人の顔というのはとても不思議なものですね。会話が進んでいくとその人の性格みたいなものがなんとなくでてきます。特に私は耳(言葉)ではなくて目(人相)に集中しているので余計にそうなのかもしれません。
いくつか簡単な質問をし、こちらの求めている条件でもいいかという部分も含めて会話をしていき、面接は終了。
Seydinaとお互いに意見や感想を交わして、決めていきます。
正直、いま振り返ると「この人がいいよね」という点でSeydinaと意見が分かれることはありませんでした。
そういう点でも価値観の合うパートナーでよかったと心から思います。
試用期間から採用へ
最終的な候補が決まったら1週間ほど働いてもらい、本当に大丈夫かを見ていきます。
セネガル人に限ったことではありませんが、やっぱりアフリカ人は基本的にみなとても話上手。
一見するとみーんなある程度かっこいいことを言いますし、いいように見せます。
でも化けの皮が剥がれるのが早いのもアフリカ人らしいところ。数日すると必ずその人の本当の部分が見えてきます。
こういうプロセスできてもらったのがDjiby。
彼は正直学歴も大して高くはありません。また、小売の経験もありません。
それでも彼がすごかったのがその気迫と誠実さ。
当時の彼は職がなく、家族が病気でした。
窮状を訴える人は正直いくらもいます。皆苦しい。けれども彼が訴えるその様子にはとても真摯で真面目なものが感じられました。
とりあえず試用ということで働いてもらったところ、最初からモチベーション満々。
「まぁ、初日は遅刻だろうね」と思いつつ
「15時に来てね」と伝えると12時には店の前で待っています。
「とりあえず床を軽く掃除でも・・・」なんてお願いすると、床どころかショーウィンドウまで磨いてくれます。
手があけば指示を求めてくるし、慣れたら自分からどんどんタスクを見つけてこなしてくれる。
試用期間の終わりになってもダレることはなく彼の真面目さは続きました。
これはもう、こちらからお願いして働いてもらうことにしました。
もちろん、いま現在までも彼はとてもよく働いてくれています。
採用のプロセスとして色々なステップを踏むのが果たしてよいのかはわかりません。時間がかかることは確かです。
また、各種の経歴よりも「感覚」重視でないほうが上手くいくかもしれません。
でも今のところは、こうした形で採用した人たちと一緒に働けて心からよかったと思っています。