うちのスタッフ、自慢です-アフリカでの人材採用(3)
先日ご紹介したスタッフの採用後についてです。
助けられてもらってばかり。
完全に手前味噌ですが、先日のDjiby含め今いるうちのスタッフは本当によくやってくれてると思います。
たとえば
・時間:全員言わなくてもいつも時間厳守。というかいつも15分前までてには出勤しています。
事情があり5分遅れたときは大変すまなそうな態度で謝り
「ごめんなさい。代わりにいつもより長く働くから」
と申告してきます。
・勤務態度:とにかくとても真剣かつ真面目に働いてくれます。
言ったことはきちんとやってくれますし、作業の完成度も自分で気にしています。
とりあえずやりっぱなし、という風にはぜったいしない。
ある程度ルーティンの作業はこちらから指示したり、やるように促す必要はありません。気づけば率先してやってくれてます。
・やる気:とにかくいつもモチベーションいっぱいでびっくりします。
改善すべき点などを頻繁にくれますし、たとえば「SNSを使ってもっと宣伝した方がいいんじゃない?」と自ら提案をしてきてくれます。
私のできていない点なんかもの指摘してくれたり。
たとえば先日のこと。
ある書類の作成に追われながら店番をしていたところ、Djibyがやたらと話しかけてきて私の気をひこうとします。
その日の終わり、彼と雑談している時に
「野口は今日完全にコンピュータに頭が持ってかれていたでしょう。目の前のお客様を出迎えようという気に全くなっていなかった。だから冗談を言ったりして気を引かせようとしたんだよ」
と言われた時には本当に驚きました。
単に「きちんと接客しなきゃダメだよ!」とスタッフの方が真剣に商売に向き合っているだけでなく、一応こちらの方が立場が上だという認識からそれとなく諭してくれようとしていた、という配慮の仕方にこれまたびっくり。
時々「この人たち、背中のチャックを開けたら日本人が入ってるんじゃないかしら?」なんて思うことがあります。
なんにもなっていないうちの私たちの会社ですが、スタッフだけは胸を張って自慢できます。
閉店後のスタッフたち。ほんとうに私たちの会社の宝物。
敬意と配慮
では、なぜこんなによく働いてくれているのか?
上記のように私にはマネジメントの経験なんかありません。
正直なところ最初は「本当にうまくやっていけるのかな?」なんて不安もありました。
ものの本をひらけば
「上司はリーダーでなければいけない。よいリーダーは威厳をもち、明確な言葉で部下を率いていかなければならない」
なんてことが書いてあります。
それに対して、なにせこちらときたら言葉がロクにできません。威厳どころか相手からしたら赤ん坊同然。
だからもう割り切りました。
「もう細かく指示なんて出せないのだから彼らに任せよう」と。
入ってきた彼らには私たちがどんなことを期待しているか、どんな役割を果たしてほしいかを明確に伝えます。
たとえば店員のBocarやDjibyにはプロフェッショナルな販売員になってほしいと繰り返しいいます。
売るためにあらゆることしてほしいと。
また、彼らにはある程度の裁量も与えます。
売り場はいつでも誰でも変更可能ですし、思いついたアイデアも実行できます。また、そこから生まれた創意工夫はなるべく褒めるように意識します。
それぞれのやったことには常に敬意を払うようにしています。自分の工夫が認められたときは彼らも嬉しそうです。
そうすると、段々と彼らがやる気をもって仕事するようになっていきました。
また、スタッフのおかれている状況には可能な限り配慮します。
たとえばうちは店舗スタッフの場合、お給料は日払い。
突然の出費により手持ちがなくかってしまうこともある彼ら。より早くキャッシュが入るようにすることで生活をしやすくしています。
イスラムのお祈りも全然自由と伝えた時は彼らのが驚いていました。非イスラム教徒の私がそういったことに理解を示すのは意外だったようです。
それ以外にも多少シフトを自由にしたり、本当にピンチの時は前借りに対応したりもします。
敬意と配慮。この二つを払い、人としてきちんと認めてたより任せる。
これが今の私たちのやりかたとなっています。
やっぱり人選び。
彼らはこちらが彼らのことをケアしているのを感じ、ますます仕事に行く精を出してくれます。
でもこれは結局、「誰かから向けられた敬意や配慮をきちんと感じとり返せる人間であること」が大きいのだ思います。
こちらのやり方ではなく、結局彼らの感受性の問題。感度の低い人間にどんなことをしてもあまり効果はあがりません。
当たり前の話といえば当たり前ですよね。
①きちんと気持ちの汲み取れる人をバスに乗せる
②その人たちにきちんと敬意と配慮をしめす。
そのことで、やる気になって働いてくれる。
ある日、何気なく雑談をしているときにスタッフの一人に言われたこの言葉が自分の中で印象に残っています。
「セネガル人社長は敬意は払ってくれたけど、お金を払ってくれなかった。
フランス人社長はお金は払ってくれたけど、人としての敬意を払ってくれなかった。
人として、メンバーの一人として、きちんと認めてくれたのはあなたが初めて。
給料をしっかり払ってくれたのもあなたが初めて。だから私はここのお店で頑張りたい。
まっ、いまのちょっと給料は低いけどね(笑)」
これを言われたとき、
「あぁ、この人たちと一緒に働けて本当によかったなぁ」
そんなことを心から思えました。
まだ私たちはまだ数人のレベルなのでうまくいっているという面は大いにあると思います。
この先、人が増えたらこういうものはもっと難しくなるのでしょう。
でもこの先も一緒に働いてくれる人々に対して、敬意と配慮を払うことは忘れないでいきたいと思います。