ダカールで商売を。

日本の良さは西アフリカへ伝わるか?セネガルにて小売店を経営。つくり手と買い手をつなぎます。

スタッフを雇おう!-アフリカでの人材採用(1)

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現在、うちのお店では3人のスタッフに働いてもらっています。
その採用の際に気をつけたことなどを書きたいと思います。

 

採用方針:縁故採用

店を始める前に迷っていたことの1つは「そもそも人材を外部からとるか?Seydinaの親戚やファミリーで固める方が良いのではないか?」ということでした。

 

商売をする上で怖いのはやっぱり不正。アフリカでは特にこの手の話をよく聞いていたので、最初私はSeydinaの親族から採用した方がいいかもしれないと考えていました。
印僑なんかを見ていてもコアな部分はインド人で固めていますよね。

 

しかし、そこで意外だったのはSeydinaの反応。すんなり賛成するかと思っていたら「反対」でびっくりしました。

 

いわく、
「確かにセネガルでも最初は家族を中心に固めることが多いよ。でも僕としてはそれはイヤなんだよね。身内だと"なぁなぁ"になりやすい。しかもそうい時にクビにしにくいんだよね。あとから親族内で後ろ指さされるから」
なるほど、家族主義で親族の関係が強いアフリカだけに反対に経営面で縛られてもしまうと。

 

「Seynoyaで働く時はみんな真剣に働くスタッフで固めたい。日本に留学してアルバイトした時に僕はそこに感動したんだよね。牛丼屋でもコンビニでもみんな黙々と自分のすべき事を一所懸命こなしているでしょう?誰に指示されてもないのに。こっちは真逆。雇われの身だとやることなきゃ座ってサボっちゃう人ばっかり。そういう日本の勤勉なところも取り入れたいんだよ
と。

 

力強い「日本式」の採用主張になんだか私の方が諭されてしまいました。

そして最後に言われた一言がとどめ

野口はアフリカに雇用がうみたくて来たんでしょう?そこを忘れちゃいけないよ


適切な人間をバスに乗せる
 

人材を外から広く募集することになりSeydinaとよくよく話し合っていたのは
とにかく人材はよくよく吟味して絶対に妥協しない
ということでした。

背景には2人とも人見知りで、初見の人間に対して厳しい見方をしがちであるという性格的なこともあります。
また、特に私はひねくれた性格でもあるのでスタッフはしっかりして人でないと、といのもあります。

 

さらに頭にあったのは、たまたまその時読んでいた『ビジョナリーカンパニー2』という本の以下のような記述。

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ  偉大な企業への飛躍を指導したリーダーは、まずはじめに新しいビジョンと戦略を設定したのだろうとわれわれは予想していた。事実はそうではなかった。

最初に適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、適切な人がそれぞれにふさわしい席に坐ってから、どこに向かうべきかを決めている。

「人材こそがもっとも重要な資産だ」という格言は間違っていた。人材が最重要の資産なのではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

吹けばとぶような小さな所帯だけに、合わない人と一緒に旅ははじめられません。「正しい人をバスにのせよう」という意識がありました。

 


セネガルでの求人方法
 

というわけで、まずは募集。
これは簡単に店のショーウィンドウに求人内容を貼り出しました。


ちなみにセネガルでの求人方法には以下の方法があります。

 

方法概要
コネ・紹介 身内や友人の口利きを通じて採用
張り紙 店頭や周辺に張り紙を貼り募集
紙面広告 新聞等への募集広告掲載。政府・開発機関や大企業の上級職主体の印象
インターネット ネット上での募集広告。求人サイトや情報サイトで求人欄がある。

 

上記の通りネット上に求人情報を載せるような媒体もあるにはありますが、感覚的にはほとんど使われていません。
特にローカルな商売では家の近所や紹介を通じてというのが殆んどです。

 

募集告知には条件として「21歳から31歳まで」という年齢制限をつけました。

僕らもまだ20代なのであまり歳上の方は合わないだろうと思ったためです。
まぁそこはアフリカ、少しぐらい紙に書いていたって誰も気にしやしません。最終的にしたは18歳、上は40歳まで幅広い方からご応募頂きました・・・。


選考はあえて面倒に

選考は以下のプロセスで行います。
⑴履歴書の提出(書類選考)
⑵面接
⑶試用期間
→本採用

 

日本だと割と一般的な流れだと思いますが、特に店員レベルの仕事はその場で決まることが多く履歴書(CV)を出すことも珍しいと思います。

職の少ないセネガル。とりあえず手だけ上げておこうという方は本当に多いです。
ただ、履歴書を持ってくる人、面接にあらためて来る方は最初に手を挙げた方の数よりはグッと少なくなります。

面倒なプロセスを踏むことで、本当にやる気のある方だけに残ってもらえるようにしました。

 

家族主義のアフリカ、本人だけでなく「うちの娘を応募させたいわ」「僕の弟が職を探してるんだよ」とファミリーの誰かが代わって話を聞きに来られることも多く見られました。

 

たとえば、ある日のこと
男性「おう!ちょっとうちの娘応募させたいんだけどな!」

自分「わかりました。履歴書を持ってきてください。あっ、メールで送ってくれても構いません」

男性「わかった!近所のネットカフェの親父にちゃちゃっと作らせるわ!」

 

なんて、落語好きな私としては思わず「代書屋か!」と突っ込みたくなる一面もありました(わかりづらくてすみません。。。)


この様にしてあっという間にたくさんの履歴書が集まってきます。
ここから選考開始です(つづく)