ダカールで商売を。

日本の良さは西アフリカへ伝わるか?セネガルにて小売店を経営。つくり手と買い手をつなぎます。

紙幣修復士に想いをよせて。

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「うわっ!これひっどい」
夜の10時、1人で閉店作業のひとつとして現金を数えながら思わず声がでます。

たとえばこの様なお札。
テープの上にホチキスで留めてあり、まるでフランケンシュタインのよう。

こういうのは直し甲斐があります。
テープとハサミをだして修理開始。

そう、最近密かなマイブームなのが「お札の修復

 

かわいそうな紙幣


しかし、この国のお札の扱いはひどい。紙幣たちがかわいそうになってきます。ボロッボロのお札がかなり流通しています。

最初は「銀行が古いお札を回収して新札と入れ替えていくことがうまく機能していないなかな」なんて感じていました。

 

が、最近思うのは人々の扱いもひどい。

たとえば公共交通のバス。公営ではないバスの車掌のお兄ちゃんたちは客から紙幣を受け取るや否や指に挟むためものすごく細かく折るんですね。
少しでも多く手に持ってなきゃいけないという業務上?の理由があるとはいえ、これでは傷みます。

 

 

 

また、一般の人たちの中にもすごく扱いのひどい人たちがいます。特に財布を持たない人たち。

 

特に以下の場合の女性は財布を持ちません、

・近所に出かけている人
セネガル服(ワンピース型が多い)を着ている人(ポケットがない)
・所得の高くない人(所得高いと車移動が歩かない事が多く、また化粧品など持ちものも多いためかバッグの所有率が高い)

財布を持ってない彼女たちは紙幣を手にもった時に握りしめるんです。

2つ折りではなくて、くしゃっと。
手の中で無残にたくさんの折り目がついたお札・・・。

 

これ、個人的にたまらない時があります。キレイなピン札をお釣りとしてお渡しした際に目の前で「クシャ」とやられるとなんだか胸が痛くなります。もう、なんとも言えない悲しみ。
誰にもわかってもらえないんですが。

なんでしょう。「お金は大切に扱わなきゃいけない」みたいな意識がないのかなーなんて思います。

 

別にあまり信じていませんが、「お金をキレイに扱う人にはお金が集まってくる」なんて話を読むと、あの「クシャ」を思い出します。

もっとお金を大切にする意識がつけばなんか変わるのかな、と。

 

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「何したらこんな形になるんだ!」とツッコみたくなるものも。


でもキレイなお札は好きなんです。うちのスタッフも給料を渡す際、キレイなお札を渡すとニコニコして「おぉ!キレイだな!」なんて喜んでくれる。
こちらとしても薄給なのにがんばってくれてるのがありがたく、少しでも良い紙幣を渡すようにしています。

お客さんにもきたないものを渡さないのはもちろんです。

と、なると結局キレイではないお札だけレジにたまっていきます。仕方ないので自分のもっている紙幣と交換。そのせいで私の財布はキレイではお札ばっかりです。

この頃はいままで自分が見たことのないレベルで傷んでいるお札を見かけると反対に「ここまでになるのかー!!」なんてちょっとした損傷紙幣コレクターみたいな心持ちがしてきたぐらいです。

 

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最近見つけたザ・ベスト損壊紙幣。色が危険なレベルですね。。。

 

修復ボランティア

で、このようにかなり古く傷んでいる紙幣が流通している結果、破れてしまうものも多く出てきます。

破れ方も力の加わったそれではなく、紙として使われすぎて磨耗して裂けてしまう感じ。


いつのころからか、1日の終わりにお金を数えレジを閉める際、それらの紙幣をなおすようになりました。
「修復」といってもテープを貼るぐらいしかできないんですけど、裂けているものを合わせたり、切れかかってるものに貼って予防したり。

 

他人のなおしたものの中には、冒頭のように一応修復を試みたもののひどいやり方をされているものもあります。
でも一方でかなりきっちりキレイにとめてあるものがあります。

そういうのを見ると「名人芸だ!」なんてまた1人で思ったりして。

 

同じセネガル、いやこの紙幣は西アフリカでも広く使われているのでアフリカの西側のどこかで今日も誰かが自分と同じようにボランティアで紙幣を直してる。

修復された紙幣を見て見えないボランティア仲間がどこかにいるんだな、と思うことが嬉しいんです。

 

本来お金という発明は「匿名性」もその1つの特徴なわけですが、なおした結果誰かの痕跡が残り、私のような縁もゆかりもない日本人のもとにその存在を知らせてくれるのです。


なんて話をスタッフのBocarくんにしていたら
野口さん、疲れすぎです。そんなことしてないで早くレジ閉めて帰って寝てください

と一言。

 

いつか話のわかってくれる西アフリカの"ボランティア"を見つけて、紙幣修復談義に花を咲かせたいと思う今日この頃です。