ダカールで商売を。

日本の良さは西アフリカへ伝わるか?セネガルにて小売店を経営。つくり手と買い手をつなぎます。

セネガルの通貨とお金のはなし(2)

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お金の話。続きです。 

「どこにもいけないんです・・・」

「5,000CFAを両替してもらえませんか?小銭が無くてどこにも行けないんです・・・」

 

 

お店をはじめて以来、何人もの方がこう言いながら店内に入ってこられました。

そう、この地でいつも人の頭を悩ませるのが小銭がないということ。

 

とにかくどこへ行ってもつり銭が不足しています。

たとえば代金が100CFAのところに1万CFA札を出すなんてありえないこと。商店の場合は販売拒否。

1,000CFAでも相当な良心の呵責と、売り手に嫌な顔をされるのを覚悟でなんとか支払えるという感じ。

客としての自分としては面白くはありませんが、「マナー違反」であるともわかっているため腹はたちません。

感覚的には「代金の5倍以上の額で支払おうとすると非常識」というイメージです。

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非常に使いづらい1万CFA札....

たとえば日本ではお財布の中に1万円札しかなくても特に心配にはなりません。

小銭が必要となることは多くないですし、必要でも「コンビニでガムでも買ってくずすか」という話になる。

もっといえば、個人的に財布の中の小銭をゼロにするのにチャレンジしていたぐらいです。

それがこちらでは正反対。1万CFAしかないとわかった途端、「何もできない!何も買えない!」とちょっとしたパニック。*1

 

 

こちらで暮らしていて数少ない「イヤだなぁ」と感じる事は、いつも小銭のことを気にしていないといけないこと。

頭の中に一定のスペースを占めていて、時に思わぬところで小銭不足のため行動したり買い物できなくなったりします。

なんというか、国全体で人々がこういうことに頭を悩ませているのは国として本当に大きな無駄だなぁ、と思うのです。被害を定量化できないのが本当に残念。

 

地域の助け合いの中で。

こういう風な状況なので、人々としては反対に「非常識ととられない額の時は大きなお札を出して、極力くずす」という考えになります。

生活者としては私自身もよくやってしまうわけで、なにせ私たちの店は1,100CFA均一。「自分が顧客だったら5,000CFA札出して崩そうとするよな」と。

そんなわけで開業前に自分がもっとも不安だったことは実は「つり銭の用意、どうしよう・・・」ということでした。*2

 

結論としては、それでも開店したらなんとかなっています。

特に大きいのは周辺の小売店との助け合い

 

たとえばうちの店は、多くの方が5千CFA札や2千CFA札で支払われるのでそれらのお札が比較的多くあります。でも100CFAコインなどがすぐになくなっています。

反対に、目の前のブティック(少額の日用品を販売するお店)では、価格が安く適度にマナーを守ってみな小銭で支払うので小銭が多くあります。でも紙幣があまりない。

 

なので定期的にお金を持ち寄って、お互いが必要としているものを交換します。

もちろん、全体的にはコインや小額紙幣が不足しているので対等な助け合い、というよりは私たちのお店が彼らに助けてもらっているという側面が強いです。

 

ただそこは人づきあい。毎日彼らと顔を突き合わせて関係を作り、うちの店で必要なしょうも品などのはできる限り彼らから購入するなどして、お互いに気持ちよく助けるように努めています。

 

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地域に住むいろいろな人とのつながりのなかで商売をしていく

 

お店をはじめるとき、ある方から「小売業は地域とのつながりが大切だよ」というお言葉をいただきました。

「地域」にはもちろん近くに住んでいる「お客さま」を意味することもあります。

が、同時にまわりで商売をしたり、なにか活動している人たちとよい関係を作っていくことの重要さも含まれると、この頃とてもよく感じています。

 

*1:実際のところ、生活に慣れてくると『ピンチの時に小銭を作れる場所・テクニック』にも習熟してくるのですが

*2:1,000CFA均一にすれば問題を回避できるのですが、収益的にはやはり1,100CFAにしたいのです