ダカールで商売を。

日本の良さは西アフリカへ伝わるか?セネガルにて小売店を経営。つくり手と買い手をつなぎます。

ダカールで銀行口座をつくろう。

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会社を設立したら次に気になるのが銀行口座。

日本とは少し異なる西アフリカのシステムと作り方を書いてみます。

 
保持は必須ではない。

日本では銀行口座を持たない会社というのは考えづらいですよね。個人でも皆持っているぐらいですし。

ただ、ここセネガルでは少し事情が異なります。

個人として口座を持っている人は少なく、ビジネスの規模にもよりますが小規模・BtoC・国内ベースの商売であれば別に口座が無くてもなんとかやっていくことは可能です。

なので、日本では当たり前の「口座を作る」という行為も一つの経営判断になります。

 

口座を作るメリット・デメリット

<デメリット>

・口座維持手数料が毎月発生する。

もっとも大きく、また銀行口座の保持が普及していない理由です。お金を預けるだけで一定の費用が徴収されます。

後述しますが、その額は概ね月10,000万フラン(≒2,000円)以上。セネガルの物価感覚は概ね1フラン=1円なので、一年で12万フランは日本での12万円と同じ感じです。

口座を持つだけで年間12万円もする、と言われれば日本でも考えてしまいますよね。

 

<メリット>

・小切手での支払いが可能になる。

口座を持つ意味としては「小切手が使えるようになる」というのがあります。

セネガル旧宗主国フランスの商習慣の影響を受けており、日常的に小切手での金銭授受が当たり前のように行われています。特に一定の金額以上かつ企業間同士の取引きであれば小切手は必須。そのためには銀行口座を持っている必要があります。

 

・外国口座への送金に必要となってくる。

異国間で個人レベルでのお金のやりとりはウエスタンユニオンを始めとして様々なサービスがあります。しかし企業同士となると銀行経由が一般的でしょう。

特に貿易をやる企業にとっては輸出入にあたり2国間での代金決済が必要になるため、口座の保持が必要になってきます。

 

・様々なリスクからの資金の保護。

これは銀行口座一般に言えることですね。セネガルは治安的にはかなり良いとはいえここはアフリカ、何が起こるかわかりません。我々のように現金商売だと犯罪に晒されるリスクはより高まるため、安全な場所に預けておきたいものです。

 

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若者向け金融サービスを宣伝する広告。学生で1,500FCFA・若者で3,000FCFA/月

気になる口座維持手数料は?

さて、最大のデメリットである口座維持手数料。実際の所どれぐらいなのでしょうか?

 

我々が調査した2015年7月時点での各行の手数料は以下の通りです。

銀行名維持手数料(XOF/月)
Ecobank 23,500
Banque Islamique du Senegal(BIA) 12,000
Banque de l'Habitat du Sénégal(BHS) 12,000
Groupe la Poste Finance 11,000

Banque Nationale pour

les Developpement Economique(BNDE)

7,500

※金額はSARL(有限責任会社)用口座のもの。

 

「BIAはイスラム金融だから安いのではないか?」「いやいや、やっぱり日本の郵貯みたいなPosete financeだろう」なんて言いながら調べました。

が、実際はそこまで安くないなぁと。

そんな中、パートナーのSeydinaが知り合いから手数料が安いと教えてもらったのがBNDE(国立経済開発銀行)でした。確かに安い!

ちなみに、上記金額は私たちの会社形態であるSARLの為のもの。個人や個人事業などの場合はもっと安いようです。

 

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手数料の安さが魅力のBNDE。ただ新しい銀行のため支店数は少ない。

 

口座開設に必要な書類一覧

上記の理由から私たちはBNDEを選びました。この銀行を例として場合、必要な書類は以下の通りです。

  1. 商業登録(RCCM)の証明書
  2. 納税者番号登録(NINEA)の証明書
  3. 定款
  4. 公告
  5. 最低預入金額10万フラン
  6. 口座名義人の住居証明もしくは光熱費の領収書
  7. 身分証明書(日本人はパスポート)
  8. 証明写真(2枚)
  9. 直近年の貸借対照表(任意)
  10. 社印(スタンプ)

 

一見するとかなり沢山の書類が必要だという印象を受けられるかもしれません。

しかし、実は1~4に関しては法人登記時に必ず受け取る書類なので、特別な準備はいらないと思われます。

法人登記に関しては以下の記事もご参考にして頂ければと思います。

 

senegal-business.hatenablog.com

 

パスポートもお持ちでしょうし、証明写真は街中の写真屋さんで撮れます。

恐らく一番面倒なのは住居証明書の取得かもしれません。これについてはいずれ別の記事にてお伝えします。

そして、落とし穴なのが10の社印(スタンプ)です。実は1~9までは銀行からの説明書類などにも記載してあるのですが、10は書いていなかったので要注意です。

とはいえ日本の社印ほどではないにしろ、こちらでもスタンプはなにかと必要とされます。街中のスタンプ屋さんで5,000CFAで作れるので作っておきましょう。

 

必要書類を揃えて持っていくと口座開設担当者と面談しながらの書類確認等があり、無事に通れば1週間ほどで口座が使えるようになります。

 

また、我々のように共同経営であれば口座管理人を代表者2名にすることも可能です。その場合、小切手や引き出し時等でのサインが1名のみでよいか2名とも必要かは任意で選べます

 

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公的な側面を持つので安いかと思いきや・・・。

 

ネットバンキングなどもちゃんとあります!

個人的に意外だったのはどの銀行もインターネットバンキングをきちんと完備しているということ。

例えばBNDEのネットバンキングでは以下を主たるサービスとして受けられるようです。

  • 口座の預金の移動に関する各種相談
  • 銀行取引証明書および口座取引記録のダウンロード
  • 小切手帳の請求
  • 他行への振り込み

上記の内容で料金は5,850フラン/月。(ちょっと高いかな)

また、ケータイ電話のSMSを利用して口座残高や取引記録を参照できるサービスもあります。

こちらは475フラン/月なり。

 

なぜ口座が有料なのだろう??

今回、銀行口座を開設するにあたってずっと疑問だったのは「なぜ口座手数料がとられるのだろう?」ということでした。

 

私が金融業に知見が乏しいだけなのかもしれませんが、銀行のモデルは多数の人から資金を集め、そうして集めた莫大な資金を融資や投資で運用して利益を上げる、というものだと認識しています。

集めた資金が多くなるほど投融資をするキャパシティが増え、リターンも増えるはず。また口座が増えれば増えるほど振込手数料などの収益機会も増える。

ならば手数料を極力減らすなど預金へのハードルを他行より下げて、お金が少しでも自行に集まるようにするのではないか?

と思ってしまうのです。現実に日本の銀行もそのような理由で無料に近い状態なのではないでしょうか?

なぜ値下げ競争に陥らないのか・・・?

 

私が不見識であり、またインターネット等でサラッと調べてもそれらしい理由は見つけられておらず、ずっとモヤモヤしています。

もしどなたかお詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えて頂けないでしょうか?

 

銀行の口座1つとっても日本で当たり前だったことがあたりまえでなくなり、こうして疑問をもったりするのも異国生活のおもしろいところですね。