セネガルでの物件の借り方・探し方(1)
近ごろ続けている物件探しについて、セネガルにおける賃貸仲介の仕組みを解説してみます。
西アフリカでの商業物件探しの一例となればと思います。
主要プレイヤーは4者
まずどんな人々が登場してくるのかみてみましょう。
物件(商業/住居両方を含む)を探す際、主に登場してくるのは下の図にある4者です。
入居希望者以外のそれぞれの概要は以下の通り。
- 不動産屋:
入居希望者とクルティエとのつなぎ役。大体の場合街の中にオフィスを構え営業しています。 - クルティエ:
「情報屋」と言い換えてもいいかもしれません。空き物件の情報を把握しており、入居希望者や不動産屋に提供する役割を果たします。大体の場合固定のオフィスや店舗を持たず自由に動き回っています。 - オーナー:
その名の通りだが、セネガルの場合は欧州などの遠隔地に住む人が建物を保有しているケースも多い。
日本と異なる部分で特筆すべきは不動産屋自体はあまり空き物件を持っていない、ということ。
実際に足を動かし、コネを使って空き物件の情報を持っているのはクルティエであり、彼らこそが物件探しにおいては一番重要な存在になります。
クルティエといかに良い関係を築けるかもポイントのひとつ
ちなみに「クルティエ」と一言で言ってその存在は千差万別。
たまたま海外に住むオーナーの親戚で「仲介してやるから金をよこせ」といってくる程度の輩から、特定地域に膨大なコネクションがあり日々空き物件を見つけてオーナーに掛け合い物件情報を掘り起こして紹介料を経て暮らしている"プロ"のクルティエといった人まで様々な人がいます。
なんてったって特別な資格がいるわけではありませんので。
以前の記事でオマール青年に提案したように、やる気があれば明日からでもクルティエを名乗ることもできます。
誰でも気軽にクルティエになれる
加えて特筆すべきは賃貸契約締結にあたってクルティエも不動産屋も別に必須ではない、ということ。彼らは情報の提供を行ったり、契約締結のサポート役を果たしてくれますが賃借人-賃貸人の双方で内容を合意すれば勝手にサインして契約を締結できます。
物件探しのステップ-ある一例-
私の経験をもとに物件探しのステップを書いてみます。*1
欲しいのは空き物件情報であり、その情報はクルティエが握っています。そして(特定の拠点を持たない)クルティエのコンタクト情報は不動産屋がもっている。というのがカギです。
- 不動産屋を尋ねる。
まず街中で不動産屋(L'agence immobilier)のオフィスを探して入ってみましょう。大抵看板がかかっているはずです。たまに看板のない「隠れ不動産屋」があるので人に聞いてもいいかもしれません。
なお、既に希望する特定の地域がある場合はその地域内の不動産屋を訪ねた方がベターです。不動産屋はそれの位置する地域内のクルティエ情報をより豊富にもっている傾向があるので。 - 物件探しを依頼する。
不動産屋に入ったら諸条件を伝えて、空き物件情報かクルティエの紹介を依頼します。
その場でクルティエやオーナーに電話して段取りをつけてくれたら取り組む気がある証拠です。条件と電話番号を聞かれ「探しておくよ。改めて連絡するね」と言われてもほぼ100%連絡がくることはないので注意しましょう。*2 - クルティエに会い空き物件を紹介してもらう
不動産屋から紹介を受けたらアポをとってクルティエに会います。
その場で空き物件に連れて行って内見するか、クルティエが更に情報を持っている別の人の所に連れて行ってくれて物件を見せてくれるはずです。
ここでの注意は物件の内見に「出張料」という名目でお金を請求されるケースがある、ということ。相場としては1軒1,000XOFほどが目安。お金のないクルティエほど求めてきます。
ただ本来クルティエは物件成約時に払われる礼金の一部を不動産屋から受け取るのが「あるべき姿」であって希望者に出張料を支払う義務はありません。厳密にいえば。そういう意味では「心づけ」という感じです。
ただ、これを払わないとやる気をなくして次の物件を紹介してもらえないので、だいたい渋々払うことになってしまいますが。 - オーナーと条件交渉し契約書締結
お気に召す物件が見つかったらオーナーと交渉、条件合意の後に契約書を締結して借受け開始となります。
何軒も内見すると「出張料」が大きな負担に・・・
ステップとしてサラッと書きましたが実際にやるとかなりエネルギーを使います。
賃料によっては不動産屋に門前払いされることも多く、また「良い物件がある」とクルティエに言われ出かけていっても何もなかったりというのもしょっちゅう。
炎天下の中を一日中歩いても何の成果もないという日もたびたび。
日本のように紙で吟味してから内見せず、いきなり直接出かけてこの目で見るというスタイルなので効率も決して良いとは言えません。
暑い夏の日中をかけずりまわっていると、大量の汗と共に自分が溶けていってしまうのではとも思ったほどです。
いやー、日本だと物件を探すというのは事務的に進むものなのかもしれません。でも、こちらでは大騒ぎの毎日。
よく言えば気さく、悪く言えば大雑把な人たちを相手に一日中笑ったり、怒ったり。
たかだか場所探しなのに、なんだかとっても「生きている」感じがします。