デフォルメされる男性たち。ダカールのストリートアート(2)
すこし更新が滞ってしまいました。
前回の記事では女性のストリートアートをお伝えしました。今回は男性を描いた作品をお送りします。
さて、男性をモチーフに描かれた絵で総じていえるのは「デフォルメされている」ということに尽きるかと思います。
女性をモチーフにしたものが割とその姿をきちんと描いているのに対して、男性に関しては少し変わった描かれ方をしています。
今回は同じ作風のものをまとめて紹介していきます。
1.モノクロな有名人
シンプルながらも味のあるモノクロのタッチで歴史上の人物が描かれているシリーズ。
それらの姿は威厳に満ちたものというよりも、どことなく愛嬌を感じさせます。
同じ場所に向き合うように描かれている上記二枚。右側はセネガル一の総合大学の名前にもなっているCheikg Anta Diop(歴史家)
こちらも向かい合う作品。左はガンジー。右はチラシ類で半分消えかけており、人物名も不明。
恐らく作者とは別の人間が書いたものだと思われるが、キング牧師の名前。少しだまし絵のようにも見え、つい別の絵が含まれてないかと探してしまった。
歴史上の人物というわけではないが、モノクロで男性を描いたその他作品。
2.賑やかなアンスティテュート フランセ(Institut Français)
フランス語の検定試験や図書室等でお世話になるInstitut Françaisは敷地の壁が様々な作品で彩られており目を引きます。特に男性を描いたものが多く、見ていて飽きません。
歴史的な人物に題材をとったような作品も。
3.フランス人コミック風
フランス人のマンガ作品は日本のそれやアメリカのそれとはまた少し違ったタッチや世界観があります。
以下の作品ななんとなくそれに通じるものを感じます。
また、上記と同じようなタッチでありながら、「鳥」をモチーフにした似たような作品がダカール各所で見られます。同じ作者なのでしょうか・・・?
4.表情豊かな表現
少し一つで括るのが難しい作品ではありますが、より一般的なマンガっぽくに人物たちが様々な表情をしていて壁をにぎわせています。
これらを見ていて感じるのは「いったいどこの国の人が書いたのだろう?」という疑問です。
セネガルの人々にはマンガが一般的でなく、アニメも恐らくディズニー以外はあまり馴染みがないと思われます。
また、よしんばネットなどで知っていたとしても「セネガル人が好んでこうした作風の絵を描くだろうか?」という点には疑問が残ります。というのもセネガル人の絵画アーティストの作品には抽象的な表現をするものが多いのです。
個人的な感覚としてはセネガル人以外の方が書いたような気がしてなりません。
5.迫力ある宗教指導者たち
街中に最も溢れていて、セネガルの人々によって描かれているのはイスラムの宗教指導者たちの姿です。これらの肖像はかなり迫力と力づよさがあり、個々の人物について詳しい背景を知らない私でも引き込まれる強さがあります。
中には上記二枚のように日本のマンガに出てきそうな作品もあったりします。
いかがでしたでしょうか?
最初にも書きましたが男性という括りでみると、彼らの姿は女性に比べてデフォルメされて描かれることが多いような気がします。
こうした作品は街中の風景に溶け込んでおり、普段はあまり気づきませんが注意しだすとその多さと多様性に驚かされます。新たなものを見つけると嬉しくなったりしますね。
宗教指導者たち以外は基本的に勝手に描かれたものでしょうし、あまり細かいことに目くじらを立てないセネガル人の方の気質のおかげで残っているものがほとんどだと思われます。
いつかは消えてしまうこれらを見ながらダカールの街を散策するのも1つの醍醐味かもしれません。